東京を中心としてグローバルにビジネス展開を進める某大手法律事務所では、国内外の拠点が拡大していく中で増大するトラフィック、複雑化するセキュリティの一元化対応等の対策を検討していた。そんな中、米パロアルトネットワークス社が提供する次世代ネットワークセキュリティプラットフォーム「Prisma Access(プリズマアクセス)」に、いち早く取り組んでいたIIJグローバルソリューションズ(以下、IIJグローバル)へお問い合わせが届いたところからこのプロジェクトは始まった。


まず最初に、このプロジェクトの概要を教えていただけますか?
はい。クライアントは、本社のある東京を中心に世界数ヵ所に拠点を持つ某大手法律事務所です。それまで各拠点では、ばらばらのファイアウォール(以下、FW)が、いろいろなセキュリティ機器とともに設置されていて、管理しにくいだけではなくセキュリティポリシーが統一できない等、複数の課題があったんです。
そうですね。そこでFWを統一してセンター管理をすることで、全拠点のセキュリティレベルを上げつつ、ルータ以外の機器をなくして可用性を高める方法として、米パロアルトネットワークス社(以下、パロアルトネットワークス)の次世代ネットワークセキュリティプラットフォーム「Prisma Access」を利用することになり、パロアルトネットワークスのパートナーであるIIJグローバルにお問い合わせをいただきました。
Prisma Accessは2019年に発表されたばかりだったので、個人的には最新のセキュリティ技術に触れられるということでワクワクしました。ただ社内にはこれまでのパロアルトネットワークスの事例はあっても、Prisma Accessについての知見がほとんどない状況だったんです。正直、不安がなかったと言えば嘘になりますが、担当営業ですからお客様から信頼されることを重視して、とにかくたくさんコミュニケーションを取り、どんなことでも話せる担当を目指してスタートしました。
おそらく当時はPrisma Accessに詳しい人は、日本にそれほどいなかったんじゃないかと思います。そんな中で私はSEリーダーとしてアサインされましたから、少しでも参考になることは社内外に関わらず聞きまくって、とにかく知識をあげることに必死でしたね。ですからスタートした当時は結構大変でした。でもこうした未知の技術に触れられるのは、技術者にとっては大きなチャンスでもあるので、参加できて嬉しいという思いの方が強かったですね。

その後プロジェクトはどう進んでいったのですか?
ざっくりとですがプロジェクト終了までの流れは図にあるような感じです。
- 2020年2月
- 某大手法律事務所よりお問い合わせをいただく。葛西さんがアサインされ、提案活動が開始される。
- 3月
- 飯田さんアサインされ、葛西さんとともにPrisma Access導入前のトライアルを提案する。
- 7月
- トライアルを実施。トライアルの設定や発注準備のために忙しさはピークを迎える。
- 9月
- 本番構築を開始。
- 10月
- 拠点ごとにテストを開始し、問題点を洗い出し改善していく。
- 12月
- すべての拠点確認を完了し、プロジェクトを終了する。


特に7月は忙しかったですよね・・・。
そうだったね。SEチームで言うと、当初はトライアル前の各種設定に2週間使うスケジュールだったんですが、急遽スケジュールを前倒しすることになったので、その2週間を3日に短縮したんですよね。作業を3日で行うだけでなく、先ほどお話したように、まだノウハウも完璧とはいえない状況だったので、この3日間は今でも忙しかった思い出が残ってますね(笑)。
私はトライアルが無事に終わった後に、パロアルトネットワークスに対してPrisma Accessの発注をかけたわけですが、発注スキームがしっかり確立されていなかったこともあって、7月中に終えるという期限が迫る中で、あちこちに質問をしたり確認をしたりで・・・。
毎日打ち合わせをしてたよね?
はい、毎日お客様と話をして、パロアルトネットワークスや代理店と打合せをして、電話して、みたいな感じでした。今思えば自分でもよくがんばったなと思います(笑)。
そうした困難をどのようにして乗り越えたのですか?
私としては3つの要因が思いつきます。1つ目はお客様や社外関係者となんでも話せる関係性を築けていたこと。2つ目は飯田さんをはじめとした、どんなことでも優しく冷静に対応してくれるチームの存在があったこと。3つ目は前職で本当にいろいろな業務をマルチで対応していたのでメンタルが鍛えられていたということ、ですね(笑)。
たしかに、葛西さんは1日に何度も私の席に来て、遠慮なくどんどん質問してくる人なんですよね。でも、営業だけで勝手にプロジェクト進行するような人ではなく、そうして逐一共有してもらえることで、プロジェクトの進行状況がよく分かったので、とても有り難かったです。
そう言ってもらえると助かります!
いえいえ本当にいいチームだったと思ってます。私が思う困難を乗り越えた要因は、IIJグローバルという環境ですね。社内に壁がなく、誰もが嫌な顔ひとつしないで相談に乗ってくれますから、困難なことを解決できる環境がIIJグローバルには普通にあるということです。エンジニア視点で言えば「技術を共有しやすい環境」が困難を乗り越えた要因だと思います。
飯田さんにとってIIJグローバルは成長しやすい環境だということでしょうか。
そうですね、先ほどお話ししたように技術共有しやすい環境があるということは、私だけではなく、エンジニアの成長や挑戦する環境という点において、大きなメリットがある会社だと思います。今回のPrisma Accessのような先見性のあるプロジェクトを実現できる大きな理由はそこにあると感じます。
そうなんですね。営業からみると、黙々と仕事をしているSEさんたちが、そこまで部門を横断して技術共有しているのは知りませんでした。
もちろん情報を取りに行く姿勢がなければ意味がありませんけどね(笑)。
確か飯田さんは、もっとセキュリティ・海外ビジネス、IoTを経験したくてIIJグローバルに入社されたんですよね?
そうです。これもIIJグローバルの良いところだと思っているのですが「このテーマをやりたい!」としっかり言えば、本当にアサインしてくれます。今回のプロジェクトも私がやりたかったセキュリティと海外ビジネスが絡んでいたわけですが、以前から私が上司に言っていたからアサインされたのだと思います。ですから仮に「次は無線をやりたい!」と言っていれば、いずれ無線のプロジェクトにアサインされると思いますよ。
その他で、前職とくらべて違いを感じることはありますか?
「区切りがあるプロジェクトが多い」ということですかね。今回で言えば12月がひとつの区切りです。もちろんお問い合わせがあれば対応するわけですが、区切りはあります。ひとつのプロジェクトにずっと何年も関わるスタイルではなく、いろいろなプロジェクトにアサインされることは学びになります。また先ほども言ったように、自分でフォーカスしたい分野を攻めていけるので「こういうエンジニアになりたい」というのを、自分で実現していけるんですよね。他社のエンジニアからは「めちゃくちゃうらやましい!」と言われます。
葛西さんは、営業としてIIJグローバルをどういう会社だと感じていますか?
まず自分の志向を尊重してもらえるということです。営業部はクライアントの業界やタイプによって課が分かれているのですが、研修後に希望した通り新規顧客開拓の課に配属されました。ちなみに営業部はわきあいあいとしているので、課と課が張り合ったりというギスギスした雰囲気がないところも私は好きですね。
葛西さんにとって入社後初のプロジェクトだったと聞きましたが今の感想は?
そうですね、この1年でだいぶ成長できたと思います。まずはこのPrisma Accessプロジェクトをひと通りやりきったので、これから私にPrisma Access関連のプロジェクトがどんどん来ると思いますから、社内イチPrisma Accessに詳しい営業として頑張ろうと思っています!


最後に、どんな方に新たな仲間として来てもらいたいですか?

高い技術力や豊富な経験をもっているプロフェッショナルな方は、それはそれで有難いんですが、コミュニケーションがとれる方なら、それでいいのかなという気もしますね。お客さんだけじゃなくて、社内社外ともに、話せればチームとしてやりやすくなりますし。
飯田さんとほぼほぼ同じです(笑)。つけ加えるとすれば、積極的な方がいいんじゃないかと思います。人としゃべるのが好きとか、ちょっと先回りして考えることができる方もいいですね。そういうプロアクティブな感じの方はIIJグローバルが合っていると思います。