本社機能が複数のビル群で構成される大手出版社では、ネットワークインフラの老朽化に伴い、その更改を行うこととなった。このプロジェクトでIIJグローバルは、長年強みとしているネットワークとサーバのノウハウ&技術力を発揮し、提案から設計、構築、引渡しまでを一貫して行った。この大規模インフラ更改プロジェクトを終えたPM(プロジェクトマネージャー)、ネットワークエンジニア、サーバエンジニアに当時の話を聞いた。




ジレンマ
このプロジェクトの概要を教えていただけますか?
クライアントは某大手出版社で、そこでのネットワークインフラの更改プロジェクトです。参加したエンジニアは全てIIJグローバルのエンジニアです。本社ネットワーク、有線ネットワーク、本社のコアスイッチとそれにぶら下がるスイッチ、本社の無線LANも全て刷新しました。あとは本社内のファイルサーバ等のサーバ類もここにいる目黒さんがリーダーとなって更改しました。
ありがとうございます。スケジュールも教えていただけますか?
2019年1月ごろから提案を開始して、4月くらいに発注を受けました。5~6月に設計を行なって、そこから構築。終わったのが12月ですね。とてもざっくりですがこんな感じでした。
個人的にはプロジェクトが立ち上がった直後(5~6月の設計フェーズ)はきつかったですね。私はネットワークチームを取りまとめていたわけですが、このプロジェクトでは実績が無かったHPE社のAruba製品(以下、Aruba)を使うというチャレンジングな面がありましたし。

Arubaの担当は落合さんだとお聞きしましたが?

はい。Arubaに関してはネットワークチームの中で私が担当しました。上原さんが言うように当時は実績がなかったので、HPE社とも打合せをしながら機能検証をして設計をしていった感じですね。また今回はクラウド管理型を採用したので、とても便利になった部分がありましたが、これまでクライアントがしてきた設定と同じように設定ができなかったりして、更改プロジェクトとしては、そのあたりの落とし所を見つけるのは大変でしたよね。
二人が言うように、このプロジェクトで一番大変だったのは、そこかも知れない。Arubaのクラウド管理型のメリットは、全体で見ればお互い理解できたとしても、部分的な細部のこだわりを無視できないクライアントの考えもある。こだわり過ぎると、そもそものメリットが弱まってしまうから、そのジレンマは感じたね。とはいえ時間をかけて合意にもっていくしかないんだけど、確かにタフな打合せだった。
先ほど目黒さんはサーバチームのリーダーと伺いましたが、このプロジェクトの思い出は?
私はサーバ周りの要件定義から設計、引渡しまでを担当しつつ、サーバチームをマネジメントしました。今回のように全てを一気通貫して担当し、何ヶ月もクライアントと一緒になって完成させた大規模プロジェクトは初めてだったので、個人的には良いナレッジになりましたね。まあ、一番忙しい時はクライアントのサーバ室にネットワークチームとサーバチームが集まって、昼夜仕事したこともありましたが、今では良い思い出です(笑)。
私にとってもこのプロジェクトの成果のひとつは、多くのサーバエンジニアと仲良くなれたことだったりします。個人的に私たちネットワークエンジニアとサーバエンジニアって噛み合わないことが多いと思っていて、これまでなんとなく距離があったので(笑)。
確かにサーバエンジニアとネットワークエンジニアの気質みたいなのが違うと思うことはありますね。個人的には僕たちサーバエンジニアより、ネットワークエンジニアの方が細かい人が多いと思います。ちゃんとしてるというか。だからPMに向いているのはネットワーク系の人だと思いますもん(笑)。

それは目黒さんの個人的な見解として(笑)。ただこうした大規模プロジェクトでは、部署を超えたチームを組むことになることが多いので、普段一緒に仕事をしない仲間のことを知る良い機会だし、次のプロジェクトに活かせるのは良いことですね。
そうですね。今回は目黒さんをはじめ、サーバチームのメンバーと一緒に仕事ができたことで、人間関係的にもサーバの知識的にも、次に繋がる成果が得られて良かったです。
ところで、使った実績がない製品を扱うのはやはり大変ですか?
大変だと思うかは個人の感覚になりますが、確かに違いはあるので、それを理解する必要はありますね。私の場合は前職でシスコシステムズ合同会社の製品についての実績があるのですが、今回使用したArubaではコンフィグレーションが異なるので、そのあたりは触りながら慣れていく必要はありました。
今回のArubaに関しては、クラウド管理に注目しているIIJグローバルとしても取組む意義が大きかったので、落合さんの頑張りが結果的に会社にとってのノウハウにもなりましたし、チャレンジして良かったと思っています。
個人的にも新しい製品の理解ができましたし、うまく動かすコツというか挙動を掴めたので、その後のプロジェクトに活かせています。ですから未経験の製品を扱うことは、新しいノウハウが獲得できるのでエンジニアとしては良いことですね。逆にそう思える人でないとIIJグローバルではやっていけないかも知れません。
上原さんはネットワークの設計を担当されましたが、何かチャレンジしたことはありますか?

細かくは言えませんが、基幹部分にセキュリティ要件を追加するという仕様はチャレンジでしたね。クライアントの業務にとても影響する箇所ですから、万が一うまく行かなかったら、と想像すると当時とても怖かったですね。
今だから言えますが、上原さん言うように部分的に綱渡りのような感覚はありましたね。クライアントからの要望を最大限に取入れるために、そういう特殊なことをしなければいけなかったという場面がありましたから。
はい。切替えのタイミングが10月頃だったのですが、失敗が許されない状況だったので、本当にうまくいって良かったです(笑)。
最後に教えてください。IIJグローバルは、どんなエンジニアに合う会社だと思いますか?
どんな人とも分け隔てなくコミュニケーションできるエンジニアが良いですね。IIJグローバルには多様なエンジニアがいるので、気軽に相談できる人や相談に応えられる人、つまりお互いの専門性や考え方を共有できる人は、それだけ仕事に幅ができますし成長できる会社だと思います。
これは自分がこの会社に入って感じた率直な感想なのですが、受け身のエンジニアにはしんどい会社だと思うので、自分で調べたり学ぶ姿勢がある人が向いていると思います。あとは社名にあるとおり想像以上に海外関連プロジェクトがあるので、語学に自信がある人も活躍できると思います。
落合さんの考えに少し似ていますが、私の言葉で言うと、何か試したいことがある人に向いている会社だと思います。ここは風通しの良い環境なので、周りに遠慮しないでやりたいことがやれます。これはIIJグローバルのアピールポイントとだと思います。つまり、自分自身で何かにチャレンジしたい!という人はウエルカムです。
私は優秀なエンジニアには基本的に備わっている素養というようなものがあると思うんですよね。ネットワークでもサーバでも開発でも何でも良いのですが、知らない技術への興味とか、世に出して恥ずかしくない一定以上の技術力を持つんだというプライドだったり。仮にいま目立つ技術力がなくても、そういうエンジニアの基本姿勢のある人なら、IIJグローバルで活躍できると思います。