事業のなりたちとこれまでの軌跡
「SASE」ソリューションの
起ち上げメンバーが語る
ビジネスの現在地と今後の展開について
日系企業を中心としたグローバル規模でビジネスを展開するお客様をサポートしてきたIIJグローバル。
ネットワーク技術で培ったサービスとクラウドセキュリティなど多彩な技術を組み合わせたソリューションを提供している。
現在のIIJグローバルのビジネスの概要や今後の展望、さらに求める人物像について、「SASE」ソリューションを起ち上げた中心メンバーである執行役員ビジネス開発本部長 橋元太洋に聞いた。
IIJグローバルの軌跡
2010年 | AT&Tジャパンのネットワーク・アウトソーシング・サービス事業の買収により、 株式会社IIJグローバルソリューションズ発足 |
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2011年 | IIJ Global Smart WAN サービス提供開始 国際インターネットVPNサービス「Net de! World」提供開始 |
2012年 | クラウド型ビデオ会議サービス「COLLABO de! World」提供開始 クラウド認証連携ソリューション提供開始 |
2013年 | 「IIJ GIO CHINA サービス」提供開始 マネージドWANサービス「Smart WAN」サービス提供開始 「IIJ GIO Power-i サービス」提供開始 |
2014年 | 「COLLABO de! World」のラインナップ拡充 「COLLABO de! World」と「WebEx」との相互接続サービス提供開始 |
2015年 | マネージド無線LANサービス「@WiFi」提供開始 |
2016年 | @WiFi「マルチSNS認証オプション」提供開始 IoTインフラ「CaaS」提供開始 |
2017年 | 「Vodafone IoT SIM」提供開始 「Secure de! World」提供開始 |
2018年 | 「Global Remote Maintenance Service」提供開始 グローバルセキュリティクラウド「Cato Cloud」提供開始 「IIJセキュアLANソリューション with IIJ Omnibus」提供開始 |
2019年 | 「Global Web Security Zscaler ZIA」提供開始 「Global Cloud Security (MVISION Cloud)」提供開始 「Proofpoint」提供開始 「Global Cloud Firewall (Prisma™ Access)」提供開始 |
2020年 | 「Morro CloudNAS」提供開始 「Cato Cloud with IIJ Omnibus」提供開始 「Global SASE with IIJ Omnibus」提供開始 PaloAlto「JAPAC SASE Partner of the Year」受賞 |
2021年 | 「マネージドXDRソリューション」提供開始 「IoTトラストサービス」提供開始 HPE Aruba「As-a Service Partner of the Year 2021」受賞 |
2022年 | 「マルチクラウドインターコネクト(Megaport)」提供開始 「Architectural Cloud for BIMcloud®」販売開始 「Security Service Edge(Netskope)」提供開始 「APAC市場マネージドセキュリティサービスカンパニーTop10」選出 PaloAlto「2022 Global SASE Partner of the Year」受賞 |
2023年 | 「ICT運用リエンジニアリングソリューション」提供開始 「DataSnow」提供開始 |
IIJグローバルの事業
IIJグローバルは長年にわたり企業の基幹ネットワーク、いわゆるWANサービスを中心にお客様に様々なソリューションを提供してきました。
しかし、近年ではNewNormalなど社会環境変化が激しくなり、各企業もこれまで以上にスピードが求められる状況において、マーケットニーズをいち早く察知してスピード感をもって提供していくことが最も求められていると感じています。
それを実現するために、IIJグローバルの実績や経験をもとに、クラウド型サービスをオンデマンドで提供することで、お客様のビジネス環境に最適なソリューションをワンストップで提供しております。
近年ではクラウドサービスの活用に欠かせないSASEソリューションに注力しており、数多くのDX推進企業からSASE導入/運用のお引き合いをいただく状態となったことで、アジアトップクラス(※1)の実績を誇っています。
※1 パロアルトネットワークスの「JAPAC SASE Partner of the Year」(2020年度)、「Japan SASE Partner of the Year」(2021年度)、「Global SASE Partner of the Year」(2022年度)と3年連続受賞
IIJグローバルのビジネス
現在そして、これから
IIJグローバルのビジネス
現在そして、これから

IIJグローバルのビジネスの
現在地について
以前より当社は完全自社開発のサービスを持たず、マルチキャリア・マルチベンダーでネットワークアウトソーシングサービスを提供してきました。その結果、お客様課題にあわせて市場から最適なサービスを提案することが得意になりました。
現在はデータセンターからクラウドシステムへとシフトし、プライベートネットワークであるWANからオープンネットワークへの流れが加速しています。そこで、今まで主流だったお客様から提示された要望を叶えるインテグレーションビジネスに加え、ITマーケットを先読みしてお客様のビジネスやICT環境に適応しやすい形にクラウド型サービスをオンデマンドで提供することに力を入れました。その結果、新規お客様が急増。営業の意識もお客様に入り込むのではなく、マーケットのシェアを取りに行くような感覚に変化しています。
このようなビジネススタイルに変われたのは、全ての社員が高い意識で取り組んできたからです。例えばエンジニアは複数の技術分野でスペシャリストになっており、営業はビジネスコンサルティングのナレッジを蓄積して更に提案力が身についてきております。マーケティング、購買、人材育成など全部門において、向上心を持って努力した結果だと思います。
技術革新に対しての市場供給スピードが
早いことが強み
ITマーケットのトレンドを読み、新しいITの技術革新を日本市場へ供給するスピードが、他社より半年から1年ほど早いところが強みですね。さらに海外のサービスを日本に持ち込む際、海外ゆえ生じてしまうギャップを解消し適応させる術にも秀でていると思います。
最近はコンサルティングに力を入れていますが、それはコンサルティングファームが行っているものとは異なります。お客様のビジネス環境について、複数回のワークショップを通じて理解を深めていくという方法を用いるのですが、この手法はお客様自身も自社のことをあらためて理解できるというメリットがあります。
ワークショップは、まず中期経営計画を読み解くことからスタートし、続いてIT予算をどう組んでいくかを考えます。その結果、課題に対するソリューション提案ではなく、中長期戦略に基づいたロードマップの提案が可能となります。お客様のビジネス成長に合わせたソリューションを選定できるとともに、当社も前もって準備ができるため、効率良くソリューションを提供し、更にスピードアップを図ることができます。

複数のソリューションを持つことで
新規取引数が5倍以上に急増
さらにひとつのITカテゴリーに対して、得意なソリューションを複数持つことで、お客様の環境や思い描く「あるべき姿」を適切に提案できることも強みです。この点について他社はリソース面で非効率になるため殆ど実施していませんが、当社ではひとりのSEが複数のソリューションのスペシャリストになっていることで実現できています。お客様にとっても選択肢が増えるため、真にお客様のニーズに沿った提案となり、そのまま採用いただくことが多くあります。
3、4年前と比較すると年間の新規取引のお客様の数は大幅に増加しています。お客様が、IIJグローバルを「新しいITの技術革新を環境に適応させる術を持っている」と評価してくださっている証だと受け止めています。
DXを支えるインフラとして、
SASEがマッチ
クラウドサービスの利用が進む中、お客様の視点はWANよりもインターネットを重視する傾向が強くなってきています。まだSASEという言葉がなかったときに、セキュリティクラウドサービスと出会いました。それをきっかけに、インターネット上に仮想的なセキュリティプラットフォームを創るアーキテクチャが、お客様のクラウドシフトにマッチしていると考え、ソリューションとして起ち上げました。いち早く起ち上げられたことにより、ナレッジが他社よりも1年以上多く蓄積されていると思いますね。
最近ではDXを支えるインフラとして、SASEがマッチするケースが増えてきています。但し、今ある機能をSASEに置き換えるだけではコスト高になってしまったり、将来の追加要件から再構築を余儀なくされたりする可能性もあります。そこで失敗しないSASEの導入ために3~4年先を見すえたビジョンを一緒に描くワークショップを、お客様に強く勧めています。
業務を通じて実感できる
IIJグローバルの強み
どんなサービスでも新しいものはリスクがありますが、経営陣だけでなく営業・エンジニアともこのチャレンジに賛成してくれたので、スピード感をもってSASEサービスの起ちあげを推進することがきました。
メーカーとの関係性も、セキュアLANソリューションはHPE社のArubaとじっくり作ってきたように、3~4年前の改革時期からメーカーと親密になってきました。もともとマルチキャリアでしたが、メーカーからパートナーシップ契約の話をいただくことが増え、さらに一歩踏み込んだ形で進めさせていただくようになりました。私たちのサービスで、メーカーのウイークポイントをカバーできたこともあります。
今後のビジネスの方向性について
ITとビジネスが非常に密接になっている中、お客様のDXやデジタルビジネスに直接寄与できるITソリューションを展開できるようになることこそ、当社の進むべき方向だと考えています。そして実際IoTやAIを活用したソリューションを試行してきました。これまでお客様のビジネス環境を理解してきた中で蓄積してきたナレッジがありますので、フィジビリティ(実現可能性)の高いチャレンジだと確信しています。

“IT市場”というマクロの観点では確かに環境の変化は著しいのですが、お客様のビジネス環境においては大きく変わっている部分もあれば、逆に変わっていない部分もあります。私個人としてはマクロでのマーケットの状況よりも、個々のお客様のビジネス環境を的確に捉えることを重視。お客様の業態や業界の情報、お客様自身のプレス情報や役員の方の異動情報などをタイムリーに入手できるよう心がけています。
IIJグローバルの仲間に
加わってほしい人物像
環境の変化に強い人が良いですね。ここ2、3年顕著に感じるのですが、市場やお客様そして自身の環境が刻々と変化していると感じています。こうした環境の中でただ振り回されるのではなく変化を楽しんで、本当に必要な情報を捉えられる方と一緒に働けたらと思います。
例えばSASEについての説明を求められた際、一般的に提唱されている内容を説明するのではなく、SASEの変化を正確に捉え、お客様のビジネスにどのようなメリットを生むのかを説明できる人。このように事象は常に変化する有機的なものだと理解している人や世の中の流れとかニーズを本質的に理解することができる人、物事を意欲的に捉えることができたり、変化を楽しめたりする人たちに加わっていただけると心強いです。

人材育成に力を入れつつ、
ブランド力も高めたい
先ほど環境の変化に強い人を望むと話しましたが、実際には最初からそういう人は希有な存在であることも事実。教育と育成によって創り上げていく必要があると考えています。私自身もその現場に携わり、推進していくつもりです。
あわせてIIJグローバルのブランドを高めていくことも大切だと思っています。そのためにもITインフラだけではお客様からの認知度はアップしないので、お客様のビジネスそのものに直接寄与するようなソリューションの提供に力を入れていきたい。ちなみにブランドは2~3年のスパンで変えていく必要があると思っています。というのもデジタルビジネスの潮流がそのスパンで移り変わるためです。早め早めに仕掛けていかないと大きな成長は見込めないため、スピード感を重視して取り組んでいきたいと思います。