• IIJ GIO Power-iサービス

滝川株式会社様

基幹システムのバックアップ環境にクラウドを活用
クラウド化によるリソースの柔軟性向上、最適な投資の実現

プロジェクト概要

滝川株式会社様

“美の総合商社”を謳う滝川では、基幹システム「IBM i」のバックアップ機が更新の時期を迎えたのを機に、BCP対策の更なる強化を計画した。検討を重ねた後、同社は様々な選択肢の中から「IIJ GIO Power-iサービス」をコアとしたソリューションを採用した。この導入で、システム全体を保全できなかったいくつかの課題を解消したのと同時に、クラウド化によりバックアップリソースの柔軟性が向上したことで、最適な投資を実現している。

課題

  • システム全体の保全性に対する不安
  • バックアップ環境に求める要件と現実的な予算との乖離

効果

  • 高い可用性を備えたバックアップ環境によりシステム全体の確実な保全の実現
  • クラウド化によるリソースの柔軟性向上、最適な投資の実現

クライアント様情報

滝川株式会社

本社
東京都台東区元浅草3-2-1
設立
1931年2月25日

理容・美容・エステティック・ネイル・リラクゼーション用品の総合商社。大型機器からシャンプー・化粧品、タオルやコットンなどの消耗品まで、理美容室やエステティック・ネイルサロンで使われるプロユース向けの商品、約5万点を取り扱っている。

www.takigawa.co.jp

導入したサービス&ソリューション

導入前の課題

システム全体の保全性に対する不安、
バックアップ環境に求める要件と現実的な予算との乖離

創業1931年(昭和6年)の滝川は、これまで “美の総合商社”としてプロ向けの理容・美容・エステティック・ネイル・リラクゼーション用品などを幅広く取り扱ってきた。現在でも約5万アイテムの商品を、全国の代理店を通じて各種サロンなどに提供している。また同社では、エステティックという言葉を日本に広めたり、ネイルの普及活動に努めたりするなど、美容業界の発展に大きく貢献してきた歴史があり、同業界における人材育成や健全化についても注力している。

川井 孝臣 氏

執行役員
情報システム部
部長 川井 孝臣 氏

同社ではシステム/38時代から長年に渡り、System i上で販売・仕入・物流・会計等の各システムを開発・運用している。このデータ・バックアップを磁気テープ保管で運用してきたが、BCP対策としては不十分と判断し、2009年に新たにデータセンター内へ占有機(レンタル)によるバックアップ機を構築した。当時、システムの整備に取り組んだ、同社 執行役員で情報システム部 部長の川井孝臣氏は以下のように語る。 「導入当初は問題無かったのですが、運用していく中で、本番機の機能拡張やデータの蓄積によるディスク容量の肥大化など、システム全体を保全できないいくつかの課題が浮上してきました。バックアップ環境に将来を想定した過剰なスペックを用意(投資)することは効率的ではありませんが、一方で、システム運用の過程で本番環境の機能や容量は発展的に肥大していきます。この相反する両面をクリアしていく為には、決まった箱を用意する従来型の考えでは対応しきれないと感じていました」
そして運用から5年が過ぎ、バックアップ機の契約更新が迫ってきたことを機に、バックアップ環境の再検討に踏み切った。

選定の決め手

手間をかけない確実なデータ保全、
システム復旧基準、及び価格面での条件が合致

滝川は2015年1月から本格的な検討を開始し、従来のベンダーを含む複数社から提案を求めたという。検討を進めるにあたって川井氏は「特に重視した点は、(1)運用に手間がかからず、全てのデータが確実に保全できること (2)我々で定める『大災害時のシステム復旧基準(48時間)』を実現可能なこと (3)5年想定で価格面で現行よりも優位なこと、の3つ。これらを踏まえ検討を進めていきました」と当時を振り返る。結果として6月に同社はIBM iのクラウドサービスである「IIJ GIO Power-iサービス」を中心とした日本オフィスシステム(以下、NOS)とIIJグローバルソリューションズ(以下、IIJグローバル)の共同提案を採用した。 採用にあたってはいくつか決め手があった。IaaS型サービスである「IIJ GIO Power-iサービス」によって、インフラ障害などのシステム運用を手放すことができることや、稼働率99.99%を目標としたサービスインフラの冗長設計や堅牢なデータセンター設備、24時間365日対応可能な運用体制等によって高い可用性を期待できることなどだ。 またバックアップ機の環境移行におけるNOSの高い技術力と豊富なノウハウも高い評価を受けた。今回の導入における最大の懸念点は、既存の本番機(V5R4)と新しいバックアップ機(V7R1)のバージョンが異なる中、確実にデータの整合性を取るということにあったが、これに関してはNOSの高可用なシステム設計・構築によりクリア。さらにはこの5年の間にWindowsとの親和性の高いIFS領域のデータをバックアップする必要が生じたが、これに関しても解決できている。そしてこのNOSが構築したバックアップ環境をIIJグローバルのクラウド基盤に乗せることで、万が一問題が生じた場合でも、48時間以内に復旧できる基幹システムを実現している。 これらの決め手に加え、今回の導入にあたってはIIJグローバルが無償で提供している「パフォーマンス分析レポート」を利用したことも大いに役立っている。「パフォーマンス分析レポート」は、IBM iのパフォーマンスについてCPU・メモリ・ディスク・LANの4種の使用状況をグラフィカルにまとめて報告するというサービスだが、これを利用することによって、バックアップ機が本当に必要としているリソースを正確に把握できた。最適なサイジングによるサーバ構成とクラウドサービスが持つリソースの柔軟性により、最小限の投資によるバックアップ環境の構築を実現している。

導入後の効果

高い可用性を備えたバックアップ環境によるシステム全体の確実な保全、
及びクラウド化によるリソースの柔軟性向上と最適な投資の実現

新たなバックアップ環境の構築は、バックアップ機のレンタル契約満了が間近に迫る中での作業となったが、スピーディな導入が可能なクラウドサービスならではのメリットを活かし、実質1ヵ月半程度という短期間で完了。2015年9月から稼働を開始した。 システム全体の保全性に対する不安は、システム障害時に即座に対応可能な、クラウド事業者ならではの万全なシステムアーキテクチャを備えた「IIJ GIO Power-iサービス」の高可用性によって払拭され、現在までノンストップでの運用を実現している。
また、「IIJ GIO Power-iサービス」におけるリソースの柔軟性を活かし、通常時はバックアップ機を必要最低限のリソースで運用、障害発生時に本番機と同程度までリソースを増やすという縮退運用構成を実現。かかるコストを従来の半分まで抑えることに成功した。これもリソースが固定化されるオンプレミス環境ではできなかったことだ。
今後について川井氏は、「基幹システムの本番機をクラウド化することも十分検討に値するだけのインフラが整ってきた」と言いつつ、次のように展望を述べている。
「オンプレか、クラウドか、という二者択一ではなく、社内の全てのシステム運用、人材育成まで含めて全体最適を意識しています。システム部門に求められている経営企画的な役割を遂行する為には省力化が必要ですし、一方でスタッフが蓄積してきた技術や業務のノウハウを次世代へ維持・継承していく為には、現在の環境を残していく必要があります。この2つの観点からも、オンプレとクラウドを適材適所でうまく使い分けるハイブリッド環境が理想ではないでしょうか。将来的にシステムをクラウド化したり、オンプレに戻したりする機会が増えたとしても、ハイブリッドであれば、そのような環境にも柔軟に対応することができます。今回の導入を通じ、NOSとIIJグローバルとは強い信頼関係を築けたと思いますので、例えば基幹周辺のサーバのクラウド化など、ご提案を通して、 今後の長期運用計画の策定にご協力いただければと思います」(川井氏)

構成図
  • 本記事は2016年2月に取材した内容を基に構成しています。記事内のデータや組織名、役職などは取材時のものです。
  • 会社名及びサービス名などは、各社の登録商標または商標です。