• Morro CloudNAS

株式会社サイバーコネクトツー様

グローバルに展開する拠点間で快適なファイル共有が実現
運用コストも従来比でおよそ1/3に

プロジェクト概要

株式会社サイバーコネクトツー様

『戦場のフーガ』
ジャンル:ドラマティックシミュレーションRPG
開発・発売元:株式会社サイバーコネクトツー
©CyberConnect2 Co., Ltd.

家庭用ゲームソフトの制作において、アイデア段階からゲームシステムの設計・プログラム・デザイン・サウンドにいたるまで全ての制作を自ら行う「こだわりの技能集団」として名高いサイバーコネクトツー。国内外に複数の開発拠点を持つ同社では、拠点間でのファイル共有を目的にグローバルファイルシステムを利用していた。しかし、コスト度外視で使い過ぎてしまうという問題が生じ、運用ポリシーの見直しをすることになった。すると、どうしても見直した運用ポリシーだけでは解決できない部分が出てきてしまった。そこで同社は新たなソリューションへの乗り換えを検討。IIJグローバルソリューションズ(以下、IIJグローバル)が提供するクラウドファイルサーバ「Morro CloudNAS」を採用した。これにより、協力会社まで含めた快適で安全なファイル共有の仕組みを実現。運用コストも従来のおよそ1/3と大幅に削減する見込みだ。

課題

  • 小規模の運用を想定していたが、便利過ぎて想定を大幅に超過してしまいコスト増が課題となった
  • ゲーム開発で発生するデータ量が年々数十TB単位で増加
  • 使い勝手の良い従来のエクスプローラ(SMB)によるファイルアクセスを変更したくない

効果

  • リーズナブルなMorro CloudNASで、更に複数のクラウドストレージを使い分けコストを1/3に
  • 拠点間、および社外の協力会社との安全かつ高速なSMBによるファイル共有の仕組みを実現
  • バックアップや監視、ログ分析機能が標準搭載されており運用の最適化が図れた

クライアント様情報

株式会社サイバーコネクトツー

本社
福岡県福岡市博多区博多駅前1-5-1
創業
1996年2月16日

福岡、東京、モントリオールに制作拠点を置き、家庭用ゲームソフトの企画・開発をおこなっているゲーム会社。代表作に『NARUTO-ナルト- ナルティメット』シリーズ、『.hack』シリーズ、『ドラゴンボールZ KAKAROT』がある。2021年7月に自社初パブリッシングとなるゲーム『戦場のフーガ』を発売した。

https://www.cc2.co.jp/

導入したサービス&ソリューション

導入前の課題

旧システム導入当初の想定よりも
使用容量が大幅に超過、コスト増が問題に

家庭用ゲームソフトの企画・開発を行っているサイバーコネクトツー。「おもしろいゲームを作ること」を使命とする同社は、これまでに『NARUTO-ナルト- ナルティメット』シリーズ、『.hack』シリーズ、『ドラゴンボールZ KAKAROT』など、数々の有名タイトルの開発を手掛けており、最近では大きな話題になっている『鬼滅の刃 ヒノカミ血風譚』も同社の開発によるものだ。また、2021年7月には設立25周年を記念し、同社初のパブリッシングタイトルであるシミュレーションRPG「戦場のフーガ」をリリース。オリジナル作品の制作にも積極的に取り組んでいる。

白水 寛太 氏

業務部広報課広報室 白水 寛太 氏

さて同社は、「ゲーム制作はコミュニケーション」を基本理念に、ボトムアップ方式を基本とする「トライファクター」構造を採用。特別ディレクションポスト、社内で開催される「ゲームアイデアコンペ」など、こだわりの制作現場を支えるために生まれた「サイバーコネクトツー独自の体制」をゲーム制作の基盤としている。 2017年には同社初の海外拠点をカナダのモントリオールに構えたのだが、その狙いについて業務部広報課広報室の白水寛太氏は「モントリオールがゲーム業界のシリコンバレーと呼ばれる存在として、世界中から優秀な人材が集まっていることもありますが、ひとつのタイトルをあえて福岡、東京、モントリオールの3拠点で開発することで、違う目線や価値観での意見交換などが期待できると考えたからです」と説明する。

このように同社は開発拠点をグローバルに展開(福岡本社、東京スタジオ、モントリオールスタジオ)しており、各拠点や協力会社/スタッフとの間でファイルを共有するため、グローバルファイルシステムを導入していた。しかし、このシステムの課金体系が変更されたことで、同社は急きょ苦境に立たされることになったのである。 業務部開発支援課サブチーフの福元俊介氏は「当社は、特殊な業種ということもありクラウドストレージに400TBものデータを保管しています。導入当初はデータ量も今の1/10程度で安価に利用できていました。しかし、年々データ量が増加するとともに、利用用途とコストが見合わなくなってきたのです」と当時を振り返る。 そこで同社は、既存システムがちょうど契約の更新を迎えるのを機に、新たなソリューションを検討することにしたのである。

選定の決め手

以前のシステムと変わらない操作性、
異なるクラウドストレージを使い分けできる点などを評価

サイバーコネクトツーが新たなサービスを検討する中、2020年10月にIIJグローバルから提案されたのがクラウドファイルサーバ「Morro CloudNAS」だった。これを受けて同社は他のサービスと併せて比較・検討を行ったが、その際に最も重視した点が、旧システムから操作性の変更点をどれだけ少なくできるかだったという。 「Windowsのファイル共有サービスのプロトコルであるSMBをインターフェースに利用できることがポイントでした。このほか、導入の容易さや管理性の高さも検討材料になりましたが、Morro CloudNASには異なるクラウドストレージを使い分けることができる、協力会社や外部スタッフとのデータのやり取りが非常に簡単、などの利点もありました」(福元氏) 同社は2020年11月にMorro CloudNASのPoCを実施。比較的安価なソリューションにも関わらず従来のグローバルファイルシステムと同等の性能に加えて、ログ分析やリモートアクセスの仕組みなどNASの運用に必要な様々な機能が付属する点が評価されて、2021年3月に正式な導入を決めた。導入にあたっては、福岡本社、東京スタジオ、モントリオールスタジオの各拠点に大容量のSSDを搭載したキャッシュデバイス「CacheDrive G80」を配置し、グローバルファイルシステムによる拠点間でのファイル共有を行っている。データを保存するクラウドストレージとしては、ゲーム開発用のファイルを拠点間で共有するものにはアクセス性能に優れたAmazon S3(東京リージョン)を採用し、過去のゲーム開発データをアーカイブする用途にはコストパフォーマンスに優れたWasabi(USリージョン)との組合せを採用している。Morro CloudNASでは、旧システムと違って異なるクラウドストレージの使い分けが可能だが、さっそくこれが生きたかたちだ。 また、協力会社とのデータのやり取りについては、AWS上で稼働する「V203 CacheDrive in Cloud」を導入し、グローバルファイルシステム上の協力会社向けの特定のフォルダのみをV203に同期させ、協力会社は自身のPCのVPNクライアントを使ってV203にIPsecで接続、エクスプローラによるファイルアクセスが可能になった。 「例えば、FTPで同じことをしようとすると時間が掛かり過ぎます。また当社にVPN接続してもらって社内のファイルサーバにアクセスする手もありますが、当社の業務で扱うファイルは巨大なサイズのものが多いので、社内のネットワークに大きな負荷がかかる上にセキュリティ面での懸念もありました。Morro CloudNASの場合、協力会社にはAWS上のV203にアクセスしてもらうことでトラフィックが分散され、社内ネットワークに接続させる必要もないのでこうした問題は起きないので安心です」(福元氏)

導入後の効果

社全体のゲーム開発の効率化に貢献
運用コストは従来のおよそ1/3に

サイバーコネクトツーは、2021年4月よりMorroCloudNASの利用をスタートさせた。新たなグローバルファイルシステムが構築されたことで、福岡本社、東京スタジオ、モントリオールスタジオ、AWS大阪リージョン間でSMBによるファイル共有がシームレスに行われている。 協力会社に向けてはスクリプトを用意し、VPN経由でV203へ容易にアクセスできるよう配慮。結果として、社全体でゲーム開発の効率が向上した。 「旧システムはアプライアンス製品をメインに据えたサービスでした。言い換えれば、ハードウェアのスペックに依存していました。一方、Morro CloudNASは大半の処理をクラウド側で実行し、高速な処理が可能です。また、CacheDrive G80が手のひらサイズのコンパクトな筐体なので設置場所も節約できますし、故障しても短時間で交換できる点もポイント高いですね」(福元氏)

福元 俊介 氏

業務部開発支援課
サブチーフ 福元 俊介 氏

運用管理面でみると、Morro CloudNASにはファイルの世代管理、ログ分析ツールが標準で付属し、加えてユーザビリティの高いMCM(Morro Cloud Manager)によるクラウドストレージを含めたシステム全体の管理と監視が可能となり、これらを活用することでファイルサーバの効率的な運用が行えるようになった。 「ファイルサーバの運用に必要な機能がオールインワンで揃っている点も大きなメリットです。MCMは専門的な知識やスキルがなくても簡単に操作できますし、ログ管理ツールなど他のソリューションを導入する必要がないので非常に助かっています」(福元氏)

現在も同社は膨大な量のデータを旧システムからMorro CloudNASへと移行している途中で、今後1年をかけて完了させる予定だ。 「移行が完了すれば、最終的に運用コストを従来の1/3程度にまで削減できる見込みです。今後については、ストレージ容量の拡張を検討しているほか、Morro CloudNASのSharePoint Onlineとの同期機能を活用し、SharePoint上にある開発データのバックアップやBCP対策を考えています」(福元氏)

構成図
  • 本記事は2021年7月に取材した内容を基に構成しています。記事内のデータや組織名、役職などは取材時のものです。
  • 会社名及びサービス名などは、各社の登録商標または商標です。