IT TREND BLOG社内ITインフラもクラウドの時代。メリットと課題を徹底分析

  • 2018年3月1日
  • クラウド活用
  • コスト削減

クラウドコンピューティングの認知度は非常に向上しました。しかし、その活用のメリットとして、コスト削減ができることは理解していても、導入効果については文字どおり雲をつかむような手ごたえしかないというのでは困りものです。実は、クラウドは活用する側の意識で価値が変わるものでもあります。最新のITインフラのクラウドでの生産的な活用について考えてみましょう。

あらためて、クラウドコンピューティングって何?

クラウドコンピューティングって何? イメージ

クラウドコンピューティングには、どのような種類があるのでしょうか。最初に、クラウドコンピューティングの区分について整理してみましょう。区分は、利用形態別と調達方法別の2つに大別できます。

利用形態でみると、SaaS、IaaS、PaaSの3つ

一つ目はクラウドを利用する場合の判断基準となるもので、大きく「SaaS」「IaaS」「PaaS」の3つに分けることができます。

  • SaaS(Software as a Service)

    アプリケーションをクラウド上で利用するという使い方です。業務目的などに合わせて、営業や事務などのオフィスで、企業内のエンドユーザが直接サービスを活用するイメージです。名刺管理システムを全社に導入し、クラウドサービスで各社員が利用するなどが該当します。

  • IaaS(Infrastructure as a Service)

    サーバやストレージなどの“裏方のシステム”をクラウドで調達するという使い方です。ITシステムはアプリケーション利用の裏側で、ネットワークシステムやデータ保存のストレージなどのインフラがシステムを支えています。クラウド以前、これらのインフラは自社で構築して管理するのが当たり前でした。主要なものは従来どおりの形態で維持するにしても、時期に応じた変動が多いものは外部から借りるほうが得策であるという流れに変化してきています。

  • PaaS(Platform as a Service)

    システム開発や運用管理などの環境をクラウドで一括調達するという使い方です。システム開発や保守も、クラウド以前は自社の技術者と外部委託の会社が構築し、保守をしてきました。しかし、システムがより広域になり、基礎から作る負担なども大きくなったことから、PaaS利用が増えています。PaaS環境ではシステムの基本や開発環境がすぐに利用できる状態で調達できるので、アプリケーションの構築にリソースを集中できるようになります。

SaaSは完成されたアプリケーションをそのまま使える利便性がある反面、拡張やカスタマイズが難しいとされています。一方、IaaSやPaaSは自社のシステム開発力を考慮し、独自にシステムを構築したい場合に有効です。それらで構築した自社のインフラやプラットフォームと共にクラウド(SaaS)で調達したアプリケーションを利用できるようにします。
その会社のシステム環境や自社の開発力、目的や業種等により異なりますが、この3つをうまく組み合わせるのが、クラウド利用のポイントといえるでしょう。

利用目的によって、パブリッククラウドとプライベートクラウドの2つがある

クラウドのもう一つの区分が、「パブリッククラウド」と「プライベートクラウド」の2つに分けるというものです。
「パブリッククラウド」は、その名が示すとおり、広く社会全体で複数の利用者が機材やサービスを共有する形態です。一方の「プライベートクラウド」はクラウド環境をその会社が占有し、自由度や拡張性、社内エンドユーザの利便のために、クラウドの特性を利用するというものです。一から構築するオンプレミスに近いため、調達コストはパブリッククラウドに比べて大きいので、利用者は大手企業が中心です。もちろん、パブリックとプライベートの双方を組み合わせたハイブリッドな利用方法もあります。
調達コストが高くなる分、プライベートクラウドはセキュリティ面では安心です。一方のパブリッククラウドは、公衆回線の利用や共用の機材を使うことに不安を抱く声も聞かれます。しかし、データのやりとりを暗号化したり、最新のネットワーク利用に合わせたセキュリティサービスを併用したりするなどで、セキュリティを保つことは十分に可能です。そうすれば、パブリッククラウドならではのコストメリットを活かすことができます。

クラウドの導入メリットと課題

クラウドの導入メリットと課題 イメージ

では次に、クラウド導入のメリットと課題についてみていきましょう。

クラウドの導入メリット

クラウドの優れた点は、「コスト削減」「スピード対応」「最新機能の取得」の3つです。これはシステムを自前で調達する際の「構築費用」「開発期間・労力」「バージョンアップの負担」を解決する手段になり得ます。クラウド導入のメリットを整理すると以下のようになります。

  • 初期導入コストの削減

    買い取りではなく利用であるため、ソフトウェアの導入準備費用や買取費用、設定費用等を削減できます。スモールスタートができるため、展開に合わせた無駄のない投資が可能です。

  • 導入期間の短縮

    構築ではなく利用開始であるため、目的に合わせたシステムの構築、導入の設定や調整、テスト稼働等、一連の運用前の作業期間を大きく短縮できます。

  • ランニングコストの縮小

    機器の購入費やその管理費(設置場所や保守人件費)等を削減できます。バージョンアップ、不備の修正、24時間運用など、管理・保守の多くはサービス業者がコストを負担します。

  • 少ない社内スタッフでの運用

    管理・保守の多くをサービス業者に委託できます。

  • 洗練されたシステムの利用

    さまざまな利用環境、ユーザの意見、過去のトラブル対策などの経験とノウハウが凝縮されており、最新の機能をすぐに利用できます。

  • 安全の確保

    サービス業者は、継続運営のための保守に資源を投入し、安全性を確保します。また、利用企業の地域が災害に見舞われても、地域外のサービス業者と契約していれば、リスクを分散することができます。

クラウド導入の課題

クラウド導入の課題 イメージ

世界のコンピュータ活用は、クラウドをベースに進んでいるといっても過言ではありません。その理由は、導入メリットに対してデメリットが少ないからです。強いてあげれば、セキュリティへの不安ですが、現在ではクラウドの方がセキュリティは安心です。
セキュリティもクラウド環境に合わせたものがクラウドで提供されてきていますし、自社で一から構築するよりも最新のツールを利用するほうが、新手のサイバー攻撃の脅威にもいち早く対応できる利点があります。
データ紛失や破損防止の面では、自社管理サーバのほうが安心という考えもあります。とはいえ、今後も増加するすべてのデータを自社で保管するのは、コスト的に難しくなってくるでしょう。データの重要度や利用頻度に合わせた内部と外部の使い分けが重要になってきています。
さらにもう一つ、SaaSには自社専用に作り替えるなどのカスタマイズにも課題があります。しかしそこは、会社の業務にシステムを合わせるという考え方ではなく、クラウドの特性に合わせて業務や社内ルールのほうを見直すような発想の転換が必要なのかもしれません。

クラウドの効果的な利用

これまでICTは、情報システム部門など社内のITスタッフが構築するのが中心だったため、業務に合わせてシステムを構築してきました。しかしこれからは、前述したように新しいクラウドシステムに合わせて業務を変えるという考え方が重要となります。
例えば、最近では出退勤管理や名刺管理、経費精算システムなどのクラウドサービスが充実してきましたので、これらを利用して出勤簿や伝票レスの会社にすることが考えられます。あるいは、モバイル向けサービスを利用してテレワーク環境を整えるのも一つの方法です。電子メールの代わりに情報交換が早いチャットにしたり、クラウドストレージを使って社内や社外との協働作業をスムーズにしたりすることもあります。これらはすべて、ビジネスを早く確実にしていくと同時に、働き方改革にもつながるクラウドの活かし方です。
また、今はAIやビッグデータへの対応も急務となっています。しかし、AIやビッグデータ解析となると、システムを最初から構築するのは大変困難です。給与計算や在庫管理システムのようにはいきません。いずれにせよ、外部のシステムを利用することになります。このときに、クラウド利用の経験があり、その環境も整っていたほうがスムーズに移行できるようになります。

自社開発よりも既存の優れた仕組みを利用する

日本の企業は自社所有・自社開発を好むため、大型コンピュータが全盛だった時代は、パッケージソフトの使用率が海外より低いといわれていました。クラウドコンピューティングの時代でもそうならないように、外部の優れた仕組みを利用し、ビジネスの強化を世界標準で進めることが重要です。特に、人手不足が課題となっている今、クラウドは必須ともいえます。変化の速い時代は「作る」より「最新の機能を利用する」という考え方が大切なのです。